2002年9月2日(月)
日本政府代表団による「実施計画」の実質合意(概要と評価:速報)



日本政府代表団は、9月2日、持続可能な開発に関する世界首脳会議「実施計画の実質合意」(概要と評価:速報)を発表した。
以下にその内容を掲載する。


持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)
「実施計画」の実質合意(概要と評価:速報)

平成14年9月2日
日本政府代表団

1.総論

(1)「実施計画」の実質合意
9月2日午後8時(現地時間。日本との時差−7時間)、ヨハネスブルグ・サミットの「実施計画(Plan of Implementation)」(注)が非公式閣僚会議の結果、最後まで残ったエネルギー問題に決着がつき、実質的に合意に至った。同文書の正式の採択は、9月4日午後のサミット最終セッション時を予定。今後は、「実施計画」を着実に実施していくことが重要。
(注)「実施計画」:92年のいわゆるリオ・サミット以来グローバル化が進む中で新たに生じた問題に対応すべく策定された包括的文書。今後、「持続可能な開発」を進めていくための指針となる、今回のサミットにおける主要な成果物。
(2)我が国の取り組み
我が国は、今次サミットに向け、環境保護と開発をともに達成するため、「地球規模の共有」を提唱し、行動指向の取組の重要性を主張し、いわゆる「小泉構想」をとりまとめて臨んだ。我が国は準備会合から「実施計画」の交渉に積極的に参加し、早期合意を目指して議長国南アフリカと緊密に協力した。京都議定書に関しては、議長の要請を受けて各国の調整に当たり、合意成立にいたった。川口外務大臣及び大木環境大臣は南アフリカのズマ外相、ムーサ環境相をはじめ各国関係者と精力的に協議を行った。

2.各論(「実施計画」における注目点)(今回の非公式協議において各国の主張が対立した主なもの)
(1)再生可能エネルギー
再生可能エネルギーの普及拡大については、持続可能な開発のためには政策的な柔軟性の確保が必要とする我が国の主張を踏まえ、全世界又は先進国一律の数値目標を設定することなく、自主性を尊重しつつ、再生可能エネルギーが全世界に占める割合を十分に増大させることで合意を見た。
(2)衛生
衛生について、我が国は「基礎衛生にアクセスできない人の割合を2015年までに半減させる」との目標の導入を当初より積極的に支持。年限目標の設置に消極的な国とも緊密に協議し、右目標が入った形での合意に至った。
(3)資金・貿易問題
ドーハ閣僚宣言やモンテレイ合意(開発資金国際会議合意)等の合意の着実な実施が重要であり、このサミットではこれらの合意を越えるべきでない旨の我が国の主張は基本的に先進国、途上国で共有され、特にODA目標、債務については、早い段階で合意が成立した。
(4)京都議定書
我が国は、京都議定書の早期発効への取組が言及されるべく調整に努め、上述のとおり、「京都議定書の発効に向けてそのタイムリーな締結を強く求める」旨の合意をまとめた。
(5)ガバナンス
我が国は、途上国のオーナーシップとともに、その前提となるガバナンス(「良い統治」)を重視してきたが、持続可能な開発のために国際レベル及び国家レベルでの「良い統治」が不可欠であることが言及された。
(6)TICAD
90年代前半から、我が国が開催してきているTICAD(アフリカ開発会議)はアフリカ諸国首脳自身が作り上げたNEPAD(アフリカ開発のための新パートナーシップ)を支援する重要なイニシアティブとして言及された。
(7)世界連帯基金
途上国における貧困を削減し、社会的・人間的開発を促進するため、任意拠出を前提に官民からの寄付に基づく世界連帯基金の設置が検討されることとなった。
(8)科学技術による貢献
化学技術関係では、我が国の提案により、気候変動に関して、組織的観測の推進と統合地球観測戦略の実施の拡大が盛り込まれた。
(9)生物多様性
生物多様性の現在の損失を2010年までに防ぐ措置を講じることが合意され、重要生態系(ホットスポット)の保全などそのための各種施策が盛り込まれた。
(10)化学物質
化学物質の生産・使用が人の健康及び環境にもたらす著しい悪影響を2020年までに最小化することを目指すものとされ、POPs条約の批准・履行などそのための各種施策が盛り込まれた。
(11)北九州イニシアティブ
アジアの大都市が抱える環境問題を解決することを目的とした「北九州イニシアティブ」がアジア太平洋地域のフォローアップ行動の一つとして言及された。

(了)

記事:田中聡志(EPO)/現地時間 2002.09.3 発



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